要求開発のプロセスとは

要求開発プロセスについて

今回は、要求開発プロセスについて説明します。この要求開発プロセスとは、モデル・ストラクチャーの中のプロセスビューの事ではありません。

要求開発を行う上で、どのような順序で、どのような事を目的にして作業を行うのかという手順を示しているものです。この要求開発プロセスは、「Vol.7 要求開発方法論オーバービュー」でも少しだけ説明していますが、ここではもっと優しく簡単に説明していきたいと思います。

要求開発プロセスとは何か

要求開発プロセスとは何かあまり難しく考えないでくださいね。 要求開発を行う上で典型的な作業のパターンを、フェーズ(工程)と、その工程の中で行う作業(アクティビティ)、そしてその中で作成されるドキュメントについて示したものなのです。

僕は、要求開発プロセスはリアルなプランニングを立てるための典型パターンとしてとらえています。 リアルなプランニングとは何でしょうか? それは、要求開発を実践する方が、週単位・月単位で紙芝居のようなリアルでかつ意義のあるスケジュールを立てられるようなひな形と考えています。

 

要求開発プロセスのフェーズ

では、ここで要求開発プロセスのそれぞれのフェーズについて説明しましょう。
要求開発プロセスのフェーズは「準備」「立案」「デザイン」「シフト」があります。
フェーズとは、日本語で工程の事で、それぞれのフェーズには明確な意味付けがされていますので、これらのフェーズの意味を説明したいと思います。

準備 要求開発を行う上で、その背景となるビジネス戦略を見える化し、プロジェクトのゴールを決める作業、そしてそのゴールの検証を行うために「Howの手探り」や「Howからの突き上げ」を行うためにざっくりとした"見える化"を行うフェーズです。
立案 プロジェクトのゴール内に存在する業務の範囲内を明確化するために、AsIsの"見える化"を行ったり、ToBe業務の"見える化"を少し深堀するフェーズです。
しかしまだToBeモデルをきっちりと仕上げることはしません。このフェーズにより、デザインフェーズで行うToBe業務の"見える化"について、どの部分をどの程度の深さで書くと無理がないのか、効果的なのか、という戦略を決めていくのです。
たとえば、「Vol.11 AsIsとToBeとは」で説明したAsIsモデルとToBeモデルのどちらを先行すべきか、あるいは、どの程度両者をドキュメント化すべきかについて投資効果も含めて戦略的に決定するためのモデリング戦略を立てます。
デザイン デザインフェーズで行うToBe業務の"見える化"を設計するフェーズです。
シフト ToBe業務の"見える化"を設計する際に必要とされるITの基本要求をまとめ、必要に応じてシステム基本計画書を作成します。また、場合によってはここでRFPを作成することもあります。*注
  • *注RFPによる提案は、筆者的にはあまり推薦できるものではありません。なぜならせっかくIT担当がコタツモデルに入ってデザインされたToBeの業務とITなのに、それをRFPとして開発ベンダーに説明するという流れはそもそもおかしいからです。
    RFPによる提案は、ビジネスとITをどう描いているかという情報を文章で伝えてしまうため、いくら"見える化"していても適切に相手に伝わりません。本当なら開発ベンダーにこそコタツに入ってもらいたいのです。しかし、現在の商習慣においては、ベンダーとの癒着やベンダー同士の価格競争を阻害することになるため、提案・相見積もりを取るという流れがあるのが事実です。この事は、筆者からすると目を覆いたくなる事実であり、現在の改善すべきITビジネス慣習と考えています。

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要求開発フェーズの進め方

要求開発プロセスのフェーズ内の作業とドキュメントは、それぞれが重複しています。つまり同じことを異なる観点・目的で行っていきます。たとえば業務フローなどの"見える化"の作業も、準備・立案・デザイン・シフトで書くことになるかもしれません。
それはなぜでしょうか?
そうです、これが要求開発におけるプロジェクトを失敗せず成功裏に終えるための戦略的な「Howの手探り」法なのです。

僕は、要求開発フェーズにおける前工程と後工程の違いは、手探り度合いを示しているという表現でこのことを説明します。
そのために、それぞれのフェーズに入る作業(アクティビティ)は繰り返し行われることがあるのです。
図1は、その繰り返しの典型例を作成されるドキュメントと一緒に示したものです。

図1 要求開発フェーズの進め方
図1 要求開発フェーズの進め方

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要求開発プロセス、いかがでしたか?
要求開発が、いかにして戦略的かつ効率的に作業を選びながら進める方法であるか、少しでも理解していただければ嬉しいです。さて、次回「Vol.14 要求開発に必要なスキル」では、要求開発を行う上での必要スキルについて説明します。


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