AsIsとToBeとは

「現状」と「次期」の"見える化"

要求開発において、AsIsとは現状の業務やシステムのことを示します。またToBeとは、次期の業務やシステムのことを示しています。

見える化のためのシーン

さて、ビジネスを"見える化"するには、どのような観点が必要なのでしょうか?

まず、現状の業務・システムはどのようになっているのか捉えなければならないでしょうね。そして、将来のあるべき姿としての業務・システム像も必要です。さらに、予算・コスト・期間を踏まえた、現実的な次期の業務・システムの姿も"見える化"しなければなりません。

このことを図で表すと図1のようになります。このように業務・システムの姿を、現状、理想(あるべき姿)、次期という3つの形式にまとめるのは、基礎知識として知っておく必要があるでしょう。

しかしながら、この3つの"見える化"を行うのは実践的ではありません。あるべき姿と次期という2つを捉えるのはコスト的にも大変で、しかも、両者の違いが非常に曖昧になることが多いのです。

従って、要求開発方法論では、現状と次期だけを対象として、あるべき姿は戦略ビューの中で描くだけで留めるようにしました。戦略ビューの中でプロジェクト戦略の絞り込みをした後は、次期のモデルしか考えないことにしたのです。

要求開発方法論においては、こうして考えた現状のモデルのことをAsIsモデル、次期のモデルのことをToBeモデルと呼びます。

図1 現状・次期・理想のモデル
図1 現状・次期・理想のモデル

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現状の(AsIs)モデルが先?それとも次期の(ToBe)モデルが先?

さて、実際のモデリングにおいて、AsIsモデルを先に捉えるべきでしょうか?それともToBeモデルが先でしょうか?

通常は、現状を理解しないかぎり、次期は絵描けないはずですので、AsIsが先で、ToBeが後でしょうね。要求開発方法論のVersion 0.6はこの流れで説明しています。しかし、プロジェクトの中で効果的・効率的に"見える化"を進めるには、もっと違ったアプローチが必要となります。

まずは、AsIsモデルを先行させることのメリットとデメリットを書いてみましょう。

AsIsモデルを先行

メリット 現状の業務を深く理解してからToBeが描ける
デメリット AsIsの範囲を明確にしないかぎり、範囲が広くなり時間がかかりすぎる傾向がある
AsIsに執着し過ぎて、本来のToBeの姿が描けなくなる

AsIs先行型には、現状業務を理解できるというメリットの半面、現状業務のどこまでを"見える化"すれば次期業務の"見える化"ができるのか分からないので、業務全体を対象にしてしまったり、現状業務に引っ張られ本来の姿を描けなくなってしまうという問題があります。

図2 AsIs先行によるモデリング
図2 AsIs先行によるモデリング

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ToBeモデルを先行

メリット 改革/改善対象に的を絞りToBeを描き、
ToBeの関係するAsIsだけに絞り込んでモデル化が可能なため、
モデリングコストが低い
現状の問題解決という視点とは異なり、
本来のあるべき姿からToBeモデルを描くことができる
デメリット 現状を無視した「絵にかいた餅」的なToBeモデルになる可能性がある
AsIsの分析がされていないため、ToBeで狙いを外している可能性がある

ToBe先行型は言ってみればトップダウン型と言っていいでしょう。それだけに、AsIs先行と比べて、現状をあまり意識しない傾向がありますが、改善改革の的を絞りやすい、戦略的なモデルを確立しやすいというメリットがあります。

図3 ToBe先行によるモデリング
図3 ToBe先行によるモデリング

では、どういう時にAsIs先行でやるべきか、また、ToBe先行でやるべきなのでしょうか?それは、問題領域のビジネス、業務内容、そして現状業務の理解度によって異なります。

たとえば、あまり現状の業務にとらわれず戦略的な業務モデルをToBeで確立したい場合や、ある程度AsIsモデルが理解できていて、確実にToBeの狙いが明確な時などは、ToBe先行型がよいでしょう。

しかし、逆に現状の業務の問題解決が主な課題で、ターゲットの業務が複雑でだれも共有できていない時などは、AsIs先行型の方がよいでしょう。要求開発方法論では、このような決定を行うことを立案フェーズにおけるモデリング戦略と呼んでいます。このことは、また後でお話しましょう。

図4 要求開発のモデリング戦略によって効率的・効果的にモデリング
図4 要求開発のモデリング戦略によって効率的・効果的にモデリング

さあ、次回もモデリングについて引き続き説明していきます。お楽しみに!


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