要求開発チーム

要求開発を実践する上でなくてはならないもの

要求開発チームは、要求開発を実践する上でなくてはならないものです。そもそも要求開発のきっかけとなるのは、いくつかのパターンがあります。要求開発チームの話をする前に、まずは、要求開発を開始する際のパターンをご紹介しましょう。

 

要求開発を始めるきっかけ

僕がはじめて要求開発を実践したのは、まだ要求開発という名前が付いていない頃のことです。この会社では、システムが老朽化してしまって、オープン系の開発を行う際に、要求開発の考え方を説明し、そのやり方で進めさせていただいたという経緯がありました。
また別の案件では、ユーザ企業がシステム開発のたびに要求が曖昧で先に進まないというトラブルが連続してしまっており、システム開発よりも前に、そもそも業務要求を捉える期間を設けたいという考えに、要求開発方法論がピッタリ当てはまり、要求開発を採用するということもありました。
あるいは、ビジネス戦略からあるべき業務オペレーションを導き出したいということで、依頼されることもありました。
ビジネス戦略を会社の経営陣で合意させたいということで、ビジネス戦略だけの"見える化"をお手伝いしたこともあります。
何れにせよ、すべての案件で、コタツモデルの重要性を唱えて、まずはコタツモデルを形成することに努めてきました。
そして、コタツモデルを実践するのが、要求開発チームなのです。

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要求開発チームの構成

コタツモデルは、トップ、IT担当、業務担当、がコタツに入って一緒に戦略・業務・ITを"見える化"し、合意していくものです。それを行うのが要求開発チームなのです。図1は、要求開発チームの例です。
ここで重要となるのは、推進チームです。推進チームはコアチームとも呼ばれ、要求開発チームの立ち上げ、要求開発活動の企画、全体スケジュールの作成、日々の活動プランニングを行うもので、これは通常要求開発に目覚めた人、数名(2~3名)で行うことになります。僕は、ここに入って、推進チームを初期教育したり、プランニングや実際の活動のお手伝いしました。
要求開発の立ち上げ時には、このコアチームの情熱によって、プロジェクトとして不安定な時期が支えられます。

ユーザ企業の場合、ITチームは、IT部門の方か、開発会社の方が担当します。業務チームは、対象の業務部門の業務メンバーの方々ですが、通常はリーダクラス、つまりは業務の問題・課題を十分理解しており、それを変えることができる方々が担当となります。しかし、これがうまくいかないケースがあります。理由は、業務を変えたくないというリーダ達の反発があるケースです。その場合、まずはやる気のある若手の業務担当者を入れて、その中で日々業務改善活動を繰り返すことで、リーダ達も参加しようという気持ちにさせるとよいでしょう。

何れにせよ、トップのコミットメントがないと要求開発の活動は辛いものとなります。なぜなら、権限なきチームで業務改善計画など立てられないからです。そこで、まずはトップを巻き込む必要があります。ここでトップとは、会社のオーナーか、もしくは部門長ということになります。部門長をプロジェクトのトップにする場合は、企業全体にわたる問題・課題となる要求開発を行うことはできません。しかし、まずは部門の中で小さな要求開発活動を成功させ、それを部門トップを通じて、全社展開するというのは、よいやり方だと思います。

トップはなかなか時間がなく要求開発の活動に毎回参加することはできません。従って月一度報告会を作って、要求開発の活動状況を報告し承認していただくか、重要な要求を決断する会議に参加していただき、最終的に結論がでないときなど意思決定をしていただきます。
また、トップは戦略の見える化担当となっていますが、実際のところ、要求開発に集まったメンバーが既に決定されている事業戦略などをモデル化(BSC戦略マップ等)して、トップに承認していただくことが多いと思います。重要なのは、「コタツモデルの中で、生きた戦略が見える化できており、指差しできる」ということなのです。

図1 要求開発チームの例
図1 要求開発チームの例

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要求開発チームの活動

要求開発の活動は様々です。しかし、少しでも想像し易いように、一般的なパターンをご紹介しましょう。
まずコアチームは、週二回の活動が必要となります。たとえば、要求開発会議が開催される一日前に、要求開発会議の中で、何を議論の対象として、どのような成果を出すかという一日の活動のPlanとDoの結果を予測します。また、その他、各フェーズ毎のスケジュールを立てたり、調整したりします。
さらに事前資料を作成することも必要でしょう。
重要なことは、要求開発会議に重要な方々を呼ぶのですから、無駄なく効率的に作業が進められるよう、事前準備を行います。
要求開発活動は、週一回行います。

ここで重要なのは、「結果イメージの予測」です。つまりは、一日の作業結果を予測して、それが次の活動にどう活用するのか、または、作業結果によって何が分かり、次へのステップが取られるのかを予測し、その作業がどの程度時間がかかるものなのか、その作業によって得られる成果が何であるのか十分に考えることが重要です。
そうすることで、要求開発会議が、円滑に進められるようになるでしょう。もちろん、そこまでくるには経験が必要になります。
要求開発チームが集まって、「さあ何をやろう?」といった事が起こったり、いつも集まってもだらだら意見交換する会議では、全体に成果は出せませんし、長続きしません。

図2 日々の活動もPDCAを回し、結果イメージを持つ事が重要
図2 日々の活動もPDCAを回し、結果イメージを持つ事が重要

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要求開発チームに必要とされるスキル

最後に図3を見てください。
これは、要求開発のコアチームに求めるスキルです。そして、要求開発を繰り返すうちに、要求開発メンバーのみなさんに身につけたいスキルです。特に要求開発の推進(コア)チームには必須のスキルです。
真ん中の気球が要求開発プロジェクト号です。みなさんは、この気球に乗って、永遠のビジネス開発・改善活動の旅にでるのです。そのために身につけておくべき武器がスキルであり、下図に示す各スキルをバランスよく持っておかねばなりません。

ファシリテーションは、チームの参加メンバー自らが要求開発の活動を実践していくようモチベーションを持たせるためのスキルです。そしてプロセス推進力とは、プロジェクトの向かうべき方向性を仮設的に定め、議論が発散しないように会を計画的に進めていくためのスキルです。メンターリング能力とは、参加メンバーに、"見える化"の方法や、要求開発のプロセスについて事前に教育するためのスキルです。折衝力とは、要求開発の長い旅において、プロジェクトが危機的な状況に陥る際に、気球が不時着しないように、関係者間の話をつけていくスキルのことを言います。

図3 要求開発チームに必要とされるスキル
図3 要求開発チームに必要とされるスキル

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要求開発チームこそが、要求開発の中で最も大切な現場です。しっかりとチームの意思を高め、その中で明確な目標を持てるように、頑張らなければなりません。
さて、要求開発チームの事は、ここまでとしましょう。
次回からは、要求開発方法論の考え方についてお話をしていきます。どうぞお楽しみに!


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